虫歯は全部削るの?歯科医師が教える「削る・削らない」の判断基準
山﨑 有記(歯科医師)
虫歯があっても削らないことがあるって本当?

「虫歯=すぐに削る」というイメージをお持ちの方は多いかもしれません。実際には、虫歯の状態によっては削らずに経過観察をすることがあります。削るかどうかを決める大きなポイントは「その部分をきちんと清掃できるかどうか」です。

たとえば、虫歯が浅くフロスや歯ブラシで汚れを落とせる状態であれば、無理に削らずフッ素を活用しながら様子を見ることがあります。一方で、穴が開いて汚れがたまりやすくなっている場合や、冷たいものがしみるなどの症状がある場合は、治療が必要と判断します。

また、レントゲン写真で虫歯の深さを確認し、象牙質の奥深くまで進んでいる場合は削る治療を選ぶことが多くなります。患者さんご自身が「見た目が気になる」とおっしゃる場合も、ご希望に沿って治療を行うことがあります。
削らずに経過観察する虫歯の特徴

経過観察となる虫歯は、定期的なレントゲン撮影で進行していないかを確認します。半年〜1年ごとに撮影し、前回と比べて変化がないかをチェックしていきます。

定期検診のたびに「しみるようになった」「痛みが出た」など変わったことがないかをお聞きします。症状に変化がなければ、引き続きフッ素を使ったケアで経過を見守ります。
虫歯を削らずに済ませるために大切なこと

虫歯の進行を抑えるために欠かせないのがフッ素の活用です。フッ素入りの歯みがき粉を毎日使うことで、歯の表面が強化され、初期の虫歯であれば再石灰化が期待できます。

もうひとつ大切なのが食生活の見直しです。甘い飲み物やお菓子をだらだら食べ続けると、口の中が酸性に傾く時間が長くなり、虫歯が進みやすくなります。食事やおやつの時間を決めて、メリハリのある食生活を心がけましょう。
削る治療の流れと治療後に気をつけること

削る治療が必要と判断した場合、まずは麻酔を行います。痛みに配慮しながら進めていきますが、感じ方には個人差があります。麻酔が効いてきたら、虫歯の部分だけを丁寧に取り除き、詰め物で修復します。

治療後は一時的に冷たいものがしみたり、噛んだときに違和感を覚えたりすることがあります。多くの場合は数日から数週間で落ち着きますが、症状が続く場合はご相談ください。

虫歯が深く神経の近くまで達していた場合は、神経の処置が必要になることもあります。その場合は治療回数が増えることがありますので、事前にしっかりご説明いたします。
患者さんによく聞かれる質問と先生の答え
「虫歯があったらすぐ削るんですか?」とご質問をいただくことがあります。答えは「いいえ」です。ドリルで削ることを安易に決めることはありません。虫歯の進行スピードよりもはるかに速く歯を削り取ってしまうため、本当に必要なときだけ削る判断をしています。
虫歯には「進行性」と「非進行性」があります。進行が止まっている虫歯まで削ってしまうと、かえって歯の寿命を縮めてしまうことがあります。だからこそ、見極めが大切なのです。
栗林歯科医院では、患者さんお一人おひとりの虫歯の状態やリスクをしっかり確認し、削る必要があるかどうかを丁寧に判断しています。気になることがあれば、お気軽にご相談ください。
この記事でご紹介した治療について(費用・期間・リスク)
治療の内容・期間・費用は、お口の状態によって異なります。詳しくは診察の際にご説明します。
虫歯治療(う蝕治療)(保険診療・自由診療)
治療内容:虫歯になった部分を削り取り、詰め物やかぶせ物で歯の形と機能を回復させる治療です。虫歯の大きさや深さによって、レジン(プラスチック)や金属、セラミックなどの材料を使い分けます。治療後は定期検診で詰め物の状態や新たな虫歯がないかを確認することが大切です。
費用の目安:保険診療の場合:健康保険が適用されます。窓口でのご負担額は、負担割合や治療の内容によって異なります。
自由診療の場合:1000〜154000円(全額自己負担)
治療期間の目安:1日〜数週間
通院回数の目安:1〜3回
主なリスク・副作用:
- 治療後に一時的にしみることがある
- 麻酔が切れた後に痛みを感じることがある
- 詰め物が欠けたり外れたりすることがある
- 虫歯が深い場合は神経の処置が必要になることがある
- 再発して再治療が必要になることがある
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