【歯科助手がお答えします!】型取り(印象採得)のギモンを解消!被せ物・詰め物の精度を決める大切な工程とは?

おはようございます。栗林歯科医院丸の内 歯科助手の川村です。

 前回のブログでは、虫歯治療で直接詰める治療方法の流れについてお話しましたが、今回は治療の後半戦、虫歯が大きかった際の治療「型取り(印象採得)」について掘り下げてお伝えします!

 型取りと聞くと、「口の中に粘土みたいなものを入れられて、ちょっと気持ち悪かった、、、」「あの数分間が苦手!」という患者さまのお声を時々耳にします。

 型取りは、被せ物や詰め物の品質を左右する、非常に重要な工程です。この作業の意味を知っていただくことで、少しでも不安なく治療に臨んでいただけるよう、解説させていただきます。

なぜ、虫歯を削った後「被せ物・詰め物」をする必要があるのか?

 虫歯を削った後は、そのままにしておくわけにはいきません。被せ物や詰め物で削った部分を修復するのには、主に次の2つの大切な理由があります。

理由①細菌の侵入から歯を守るため

 虫歯治療で、感染した部分を綺麗に削り取った後、歯には穴が空いた状態になります。

・この穴をしっかりと人工物で封鎖しないままでいると、お口の中の細菌が再び歯の内部や、削った歯と人工物の境目から侵入してしまいます。

・虫歯が再発する(二次カリエス)と、せっかく治療した歯をさらに深く削らならければならなくなるため、細菌が侵入できないよう、ピッタリと密閉することが被せ物の最大の役割です。

理由②歯の機能を回復・維持するため(補強と噛む力)

虫歯によって歯の組織が失われると、歯の形や強度が失われてしまいます。

・強度の回復:穴があいたままの歯や、大きく削られた歯は非常に脆く、食べ物を噛んだ時に割れたり、欠けたりするリスクが高まります。被せ物や詰め物は、削られた部分を補い、歯全体を補強することで、歯が壊れてしまうのを防ぎます。

・噛み合わせの回復:歯の形を正確に再現することで、治療前と同じようにしっかりと嚙める機能を取り戻します。隣の歯と隙間が埋まり、食べ物が挟まるのを防ぐ役割もあります。

 つまり、被せ物や詰め物は、「細菌の再侵入を防ぎ、歯を壊れにくくさせるための蓋」なのです。そのため、正確に型を取り、精度の高い人工物を作製することが、治療後の快適な生活と歯の寿命に直結します。

型取りの材料と流れを知って不安を解消!

 型取りで使用する材料や、具体的な流れをご紹介します。どんなことをするのか事前に理解していただくことで、少しでもリラックスしていただけますと幸いです。

①主に使う材料「アルジネート」とは?

 型取りに最も一般的に使用されるのが、「アルジネート(アルギン酸塩印象材)」という材料です。これは、昆布などの階層から抽出させる成分を主原料としており、ペースト状にして使います。

・特徴:水と混ぜるとすぐに混ざり、お口の中では約2-3分で固まります。冷たい感触と、独特の香り(ミント風味)が特徴的です。

・安全性:材料自体は人体に安全なものなのでご安心ください。

②型取りのステップ

1.準備:歯科助手が、型取り用のトレーという器に材料を練った後、盛り付けます。
2.トレーの挿入:歯科医師が、型取りをしたい部分の全体に材料が行き渡るように優しく押し当てます。
3.待機(3分程度):材料が完全に固まるまで、そのまま動かずにお待ちいただきます。
4.除去:材料が固まったら、トレーを慎重にお口から外します。正確な形が取れているか確認して終了です。

型取りを成功させるための「ご協力のお願い」

 型取りをスムーズに、そして正確に行うには、患者さまのご協力が不可欠です。

・【最重要】じっとして動かないでください!
 材料が固まるまでの2-3分間は、お口の中の動くもの全てが型に影響を与えてしまいます。舌や頬を動かしたり、頭を動かしたりすることは、歪みの原因になります。

 成功すれば、やりなおりを防げますので、ここは1つ微動だにせずお過ごしいただけますよう、お願いいたします。

・鼻呼吸を意識する。

 トレーがお口に入ることで。特に奥歯の型をとる際は、喉の近くまで材料が届くため、嘔吐反射(「オエッ」となること)が出やすい場合があります。嘔吐反射を予納するためには。鼻から深く、ゆっくりと息を吸い、鼻から吐く「鼻呼吸」に集中するのが効果的です。

・不安な時は「手を挙げる」

 「苦しい」「気持ち悪い」「どうしてもオエッとなりそう」という時は、無理に我慢せず、遠慮なくて手を挙げて合図してください。
 人によっては、体を少し起こした姿勢の方が楽に感じる場合があります。型取りを始める前に座る角度を調整しますので、「少し起こしてほしい」という旨を伝えていただければと思います。型取りをしている最中でも、手を挙げていただければ、椅子を起こします。

「型取り後」に歯に詰められる「仮蓋」って何?

 「なぜせっかく削って型取りした歯に、また何か詰めなければならないの?」という疑問を持たれる方もいらっしゃるかと思います。また、「最終的な詰め物や被せ物が入るまでそのままにしておいても大丈夫なの?」とご不安に思われる方もいらっしゃいますが、この仮蓋は、歯を守る大事な役割を果たしてくれています。

仮蓋の3つ大切な役割

 蓋の主な役割は、治療を中断している期間中、患者さまの歯をしっかりと守ることです。

1.外部の刺激から守る

 歯を削ったあとの象牙質という部分は非常にデリケートです。冷たいものや熱いもの、甘いものが直接神経に触れるのを防ぐ必要があります。「しみる」「ズキっと痛む」といった不快な症状をなくすために、仮蓋を使用します。
( 神経がすでにない歯の場合は、基本的に痛みを感じることはないです。)

2.細菌の侵入を防ぐ

 削った部分から細菌が侵入すると、治療したはずの歯が再度虫歯になったり、神経が炎症を起こしたりする原因になります。仮蓋は、細菌が入り込むのを物理的にブロックする大切な盾です。

3.歯が動くのを防ぐ

 歯は削ってしまうと、わずかな期間でも隣の歯や噛み合わせの歯に向かって動いてしまうことがあります。動いてしまうと、せっかく型をとって作った新しい詰め物・被せ物が合わなくなってしまいます。仮蓋は、最終的なものが完成するまで、歯の位置をキープする役割も果たしています。

仮蓋が入っている時の「避けていただきたい」生活習慣

 仮蓋が入っている数日間は、日常生活の中で少し意識していただくことで、蓋が取れるリスクを大幅に減らすことができます。
 特に注意していただきたいのは、「噛む」動作と「清掃」の時です。

【粘着性の高い食品を避ける】
 ハイチュウやキャラメル、餅などの食べ物は、仮蓋にくっついた後、剥がすように引っ張られてしまいます。

【歯磨きの時に気をつけること】
 歯磨き通常通り行っていただいて構いませんが、仮蓋の周りは特に優しく行ってください。

・フロスや爪楊枝は使用しない
 仮蓋の手前の歯までは普段通り行っていただいて問題ありません。
仮蓋と歯の間にフロスや爪楊枝を無理に入れると、蓋を引っ掛けて外してしまう可能性があります。仮蓋が入っている部分の歯間清掃は、最終的な詰め物が入るまではお休みしましょう。

・優しくブラッシング
歯ブラシの毛先が仮蓋の端っこを書き上げるよに強く当たらないように、優しく丁寧に磨きましょう。

歯科助手からのお願い-大切な歯を削らないために

 ここまで、歯を削ったあとの流れについて紹介してきました。しかし、私たち歯科スタッフが一番願っているのは、患者さまの歯を一本も削らずに済むこと、そして削った部分が再治療にならないことです。

 歯は、一度削ってしまうと二度と元には戻りません。天然の歯の構造が失われると、人工物で補うことになり、どんなに精密な治療を施しても、天然の歯には勝らないのが現実です。

 だからこそ、私たちは型取り以上に、予防が大切だと考えています。

・毎日の丁寧な歯磨きはもちろん、フロスや歯間ブラシを使って歯と歯の間のケアを徹底する。

・定期検診を受診し、変化がないか確認する。

当院では、3ヶ月から半年に1回の定期検診を推奨しています。
一緒に歯の健康を守っていきましょう。皆様のご来院を心よりお待ちしております。

当院の歯科医師による「詰め物・被せ物」についての紹介がこちらから閲覧できます。ぜひご覧ください。

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